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代表者の声

日本との接点


北京交通大学での学生時代には4年間、首都経貿大学大学院3年間、学生の身でありながら、経済研究者として学生に講義もしていました。

その頃、将来の人生設計にあたって外国へ行ってみたいと思ったのです。

アメリカに行く人が多い中で、私には日本に親族(日本に帰国した元残留孤児だった義理の叔母)がいて、日本の話を聞いたりしていたこと、また、その当時は日本の映画やTVドラマが中国国内でも人気があったこと、そういう所縁が日本へ渡るきっかけになりました。


1994年、富山大学/大学院の研究生として初来日しました。

友人である松川教授の紹介でこの大学院に入りましたが、ラッキーだったのは日本の文部省(現文部科学省)の奨学金を得られたことでした。富山大学大学院経済学部史上初めてのことだったと聞いています。

しかしながら、ここで学んだのは僅か1年で、当時は大学教授への道より企業経営に興味を持っていたため、次のステージに身を置くことを決めました。


1995年~1999年まで4年間、「おわら風の盆」で有名な富山県八尾市にある社員50人位のプレス工業会社(株式会社ユニゾン)に、またもや友人の紹介で設計担当として勤務しました。

私は日本企業の優れた技術を中国に持ち帰りたかったし、その会社も中国進出という夢があったのです。


これらの経験が、その後の私の人生に大きく関わることになる「日本」との接点と言えるでしょう。



日本と日本人感


「豊かできれい」

来日しての日本の印象は、生活が豊かであり、街や道路がきれいで非常に進んでいると思いました。

初めて成田空港に到着して、自販機にあるいろいろな種類のドリンクに驚き、また充実した設備やインフラにも目を見張ったことを鮮明に覚えています。


「公を大切にする心」

富山の日本企業に勤務し始めた頃、何かの配線を無造作に手で乱暴にどけた時、会社の備品や設備はみんなのモノだから大切に扱わないといけないと注意されました。日本では当たり前のことですが、中国では逆であり、自分のモノこそ大事にするけど、みんなのモノはやや邪険に扱います。精神と文化の違いを痛感しました。


「誠実なモノづくり」

同じ日本企業で、成形金型の試作サンプルに対する熱意と責任感には本当に心打たれました。

毎日朝8時から夜0時まで連日残業して重たい金型を扱い、私も誰しも疲れて眠いはずなのに、どの社員も±2/100mmの誤差にも妥協(だきょう)をせず、徹底して高精度を追求するモノづくりを当たり前に行っているのです。

これが世界で信頼される日本のモノづくりなんだなぁと、この時から今も実感しています。


「日本人は優しい」

初めて来日した時から、空港やホテルでの日本人の対応は、ていねいで優しいと感じていました。

私が通った富山大学には中日交流センターがあり、定年を過ぎた女性ボランティアの方(田中さん)は、私たち留学生の面倒をよく見てくれ、長野の温泉地や石川県の能登半島などをご夫妻で招待してくれました。

日本企業でも、とても親切な上司に恵まれ、アフター5に飲みにいったり、週末は車であちこち遊びに連れて行ってくれたり、他社のビジネスマンを紹介してくれたり、酪農家を見学させてくれたりして、富山での生活は、公私ともに充実した楽しい思い出でいっぱいです。地元で梨を送ってくれる農家もいました(笑)。

日本人は皆すごく優しいという印象です。



日本を離れて、そして再び日本と関わる機会


1999年、中国に戻りました。1年間の大学院生活と4年間の日本企業勤務の後、日本に留まるか、中国に帰るか迷いましたが、当時中国は、オフィスビルやソフトなどまだまだ日本には劣っており、急成長の最中でしたので中国に戻れば自分が活躍できるチャンスがあると思ったからです。

日本の商事会社(伊藤忠商事)や建設機器製造会社(タダノ)と、建設用のクレーンを造ってレンタルする合弁会社が上海にあり、その会社を経営する私の友人が、忙しいから私に社長補佐として手伝って欲しいと誘ってくれたのです。私は日本でも中国でも、いつも素晴らしい友人に恵まれています。


当時、レンタル会社は珍しく、建設会社の中にレンタル部門があってトレーラーやクレーンなどを扱っていました。

この上海の合弁会社に、建設車両や機材のリースレンタル・ニーズが集まり、売上は驚異的に伸びました。

さらに日本の大手企業各社、地方の中小企業など(富士電機や金本リース、オリックス、北陸の米原商事)が出資して複数の会社を中国に誕生させました。この頃、私は各社の社長を兼務したり、グループ経営の長になったりして、1999年からから数えて約11年、2011年まで経営に携わり、いろいろ経験を積むことができました。


世界に通じる日本の上場会社の経営者からは多くを学び、影響もたくさん受けました。

経営の考え方や理念、投資リスク、安全管理、財務コントロール等々・・・。

中国の経営者は日本からもっと多くを学ぶべきだ、日本から得るものは大きいと身をもって実感しています。


2012年になって、日本での体験や日本企業から学んだことなどを活かすことはできないだろうか。

今度は中国企業に対して、コンサルや教育、経済育成などで自分が役に立てるのではないかと思うようになって、新たに会社を興しました。

中国工業信息化部(日本では経産省にあたる)が主催者となって、中国企業育成を目的に毎年1,000人を10年間教育するプロジェクトを政府機関など共に行っています。

中国企業評価研究会、北京大学なども参加している一大国家プロジェクトです。

そして現在、日本の会社との連携、マッチング、コンサルティングなどを中国で行っています。


私のこれからの活動のひとつとして、中国企業の経営者や投資家が日本に行く前に、中国で教育セミナーを行うことを考えています。日本でビジネスを学ぶなら、まず日本の文化やビジネス慣習を理解することです。

日本の中小企業や家族経営者はいろいろ苦労しながら発展していることを真摯に理解すべきです。

中国人は、お金だけ払って簡単に儲かって帰ってくるなんて考えたらダメなのです。

日本人も中国人も、お互いの立場や考え方を深く理解してこそ上手くいく、こういう気持ちが大切なのです。



日本企業に対して


欧州、特にドイツなどは中国に対して(売っても良いという考えで)ビジネスをオープンにしています。

対して日本は特化した技術力やノウハウなどが国(自社)から海外へ流出することに抵抗感があり、守っているというスタンスが強いと思われます。


先進・後発の力関係と心理変化の問題があります。

力や経験がない企業・人・国には一般的に、オープンに支援し、協力したいと思います。

しかしその後、相手が力や財力を蓄えて成長してくると、今度はライバルの立場になりますね。

ベトナム、ミャンマー、カンボジアに今私が優越感を持っていたとしても、数年後にそれがなくなれば、微妙に心理は変わります。そういうことは人間として理解できますね。

日本(人)と中国(人)の間にも、そういう繊細な心理が働くことも十分理解しなくてはいけません。


もう1点は距離感と警戒心の問題です。

なぜ欧米は中国に対してビジネス上オープンになるかというと、それは距離的に遠いからです。

それに比べて、日本と中国は同じアジア圏。

お互いに警戒心が生まれるのも無理がない、ということを理解しなければなりません。

日中間で業務提携やビジネスを成功させるためには、お互いの警戒心を解かなければなりません。


警戒心を無くすためには、お互いに相手の立場に立って、相手を尊敬して誠意を尽くす。

決して片方の利益だけに終わることなく、相互に成果を見出さなければなりません。

お互い自分のことばかり考えていては何も生まれないのです。


先日、日本の小さなお店で、制服姿の社長さんと若い部下の3人が、にこやかに語り合っている、幸せそうな光景を目にしました。お互いを尊重しながら向き合っている理想的な姿でした。

私自身、会社を経営しながら苦労も多く、いろいろ悩んで眠れない日もあります。きっと同じようにご苦労されながら会社を経営されているであろう日本の経営者にはとても共感を持ち、深く尊敬の念が湧いてきます。

仮にビジネスにならなかったとしても、国は違えども、共通の話題を持てたり、感動を共にしたりして、お互いに幸せと感じられれば、それはすばらしいことではないでしょうか。


「お互い相手を理解する。共に何かを創り出し、共に発展し合ってお互いを尊敬する。」

私たちは、そういう想いをこの会社のスローガンに込めました。

大手上場企業のように自社のルートがない日本の中小企業に、中国の大きな市場でビジネスしませんか?と問いかけます。私たちが懸け橋となって成功するようにお手伝いします。そういうアプローチが大事だと思っています。

交渉ルートや資金リソース、経験、ノウハウの不足をいろいろなネットワークで補うことができ、この大きな中国市場でビジネス化できたら、その利益と恩恵は非常に大きなものになりましょう。


さらに言えば、安定的に成熟しているアメリカや日本でのビジネスで、急速成長スピードは難しいと思われます。

中国では恐らく人脈があるだけで、あるいは資金があるだけで、またスピードがあるだけで成功できる段階です。

これまでに急速に成功した中国の資本家や企業には、時には(法令順守を無視して)強引に商売しようとする人もいたかもしれません。

でもその後、今の新しい経営者たちの多くは、きちんと教育を受け、常識あるインテリジェンスを備え、国際社会の秩序も理解します。相手を尊重して双方の利害を理解してビジネスする経営者たちです。



これが私の気持ちです。


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